感想文としては満点

演劇と言葉あそび

記録:2021年9月

 9月は暇で元気も有り余ってたので漫画をたくさん読んでました。

『呪術廻戦』

 8月に見始めたアニメの視聴を終えて原作を読了。現在本誌を追いかけている。虎杖悠仁くんほど立派な犯人はそういないよ。

 作品内「最強」キャラが主人公の世代にいないこと、かつて共に在った「最強」の挫折……とかのあたりが今の時代や若者の閉塞感とマッチしすぎていて「俺たちの物語だ!」と思えるところがどうしようもなく好き。「呪術師ってちゃんと給料貰えているんだろうか……」というところが最近気にしているところ。エッセンシャルワーカーこそ薄給なのがこの世だったり……するじゃないですか…………

副読本:第2回 罠の外を知っているか?――『呪術廻戦』論(1)|くたばれ、本能。ようこそ、連帯。|高島 鈴|webちくま(1/3)

 

 正直序盤は物凄く面白い漫画というわけではないのだが(と、私は感じている)、そこが作者・芥見下々の可愛いところ……というか個人的なキュンポイントであったりするとも考えている。読んでいて感じるのは、読者とコミュニケーションを取る気がないというか、「この人もしやコミュ障だな……?」と思ってしまうのだ。も、モエ……!ずっと好きに暴れてて欲しい。その割には思う存分暴れるための努力はかなり徹底してやるタイプでもあるので、その辺りも「俺たち仕草……!」と思ってしまう。

 そんな芥見下々が暴れ出すのが8巻から9巻にかけてで、その後の「渋谷事変」編以降のキレキレさといったら!わたしは関東出身者でもないが、かといっていわゆる田舎出身でもない宙ぶらりんの人間であるコンプレックスが妙にあるので、この盛り上がりとパワーは羨ましさすらあったりもする。

 12月24日公開の劇場版は本編の前日譚「0巻」なので初心者でも楽しめます!楽しみです!

『ブルーピリオド』

 受験編が終わったところまでしか読めてないが、とにかく5巻が大好き。「海が見たいと言ったのさ」なので!

 放送中のアニメもふんわりと追っていて、森先輩を演じる青耶木まゆの演技がいっとう良い。

『ダブル』第二十六幕

ダブル - 野田彩子 / 第二十六幕 テンペスト | コミプレ|ヒーローズ編集部が運営する無料マンガサイト

 祝!連載再開!“今切愛姫とかいう[ネタバレ]”の切れ味!

 『ドライブ・マイ・カー』を観た後のドライブ回だったので個人的に大変良かった。野田彩子の別名義新井煮干し子の『先輩は女子高生♂』のドライブシーンも良いんですよ……ラストの妙にスカッとする感じが作者らしくってたまらない……

狐晴明九尾狩

@赤坂ACTシアター

0918昼

 百鬼夜行と渋谷事変の悪魔合体〜どんぎつねさんを添えて〜

 実写化の際は夏油傑役向井理で!頼みますよ!

『ドライブ・マイ・カー』

 村上春樹が苦手な方なんですけど(少なくとも教科書に載る……つまり国語の問題にするには適さない小説ではないですよね?という考えからであって、小説として向き合ったことはないのだが)、良い映画だった。他人と狭い空間を共有するとき、手話という言語に耳を傾けるとき、雪のなか、その静けさが美しい。

 私は子供の頃に手話が当たり前に存在する状況で育っていて、それを誇りに感じているのだが、そういうものが「ただそこに在る」だけであることが心地よかった。

リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様

Decide/Glory

 かなりぶっ飛んだ設定やストーリー展開なのだけれど、それを受けたファンの反応に対して「長い年月の中で培われた信頼、そしてコミュニケーションだ……」と思い妙に感動した。

 Decide観てすぐにもう一度柳生比呂士が観たくてGloryも観た。

宝塚歌劇『銀ちゃんの恋』

0910 U-NEXT 配信

 宝塚でやるつかこうへいにイメージが湧かず気になったので視聴。

 知ってる物語なのに知ってる文法じゃないだけで全然違って見えて、

最近「知らない物語を知ってる文法で演る」は何度も観ていたけど逆はなかなか無いので新鮮だった。

 どこの銀ちゃんでも「上がってこいヤス」はかっこいい。

 

記録:2021年8月

 8月はしばらく在宅勤務になったので音楽(ジャズとか)を流すと良い感じになると考え、スピーカーを購入した。

 いま住んでいる家は線路が近くて高頻度で電車の音がすることもあり、舞台の配信なんかの音声が聴き取りづらいためこれが視聴を尻込みする一因となっていたのだが、単純な音量の問題だけでなく音質が改善されたことで聴き取りづらさがなくなったので想像よりずっと快適になった。今でも配信ライブを買うことが多い人は音響を整備するのは良い手だと思う。

 縦置き、横置き、吊しておくが可能ですが、SONYの回し者の友人によると自分の正面に横置きしてEXTRA BASS modeが正解だそう。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B089YTWB8S/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=loveholiday12-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=B089YTWB8S&linkId=16b0117b694978a05115c50e756e1400

 

大パルコ人④マジロックオペラ『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』

@PARCO劇場

0821夜
 多様性の時代に送り込まれたマジロックオペラ(とは何ぞや)!
 戦争により荒廃した渋谷で浮浪者として暮らすにじろー(村上虹郎)が祖父を探すため田舎から上京したNON(のん)と出会う、ボーイ・ミーツ・ガール。ふたりの共通点は超能力が使えること。ただし残念なことに能力を使うとNONは変顔に、そしてにじろーは屁が出るのだった。にじろーは好きな子の前で屁を出ることに躊躇いが生じ、やがて未来を予知することをやめるようになる。

 2人はひょんなことから藤井隆演じる大江三千里というシティ・ポップ歌手と共にアーティストデビューをし人気を集めることとなる。多様性を認める「芸風」の大江が企画した「LGBTQEYC5H音楽祭」にも参加することになるが、実は大江は行き過ぎた多様性を重んじる社会に密かに怯えており、この音楽祭にて爆破テロを計画をしていた。

 キャッチーな歌の数々、YOUNG DAISから繰り出されるラップはどれも楽しい。

 のんは正直演技のテクニックがあるわけではないが、驚くほど華がある。PARCO劇場サイズでも、初登場時から板の上に立つとパッと場が明るくなるような感覚を覚えた。村上虹郎はとにかく何をやっても上手い。芝居も歌も身体性も総てが良い。

 これはなんとなーくぼんやりそうなのかなという気がしただけでまだ「そうです」とは言い切れない話なんだけど、今後ものすごくスカッとする話ってあまり生まれてこなくなるのかなーーと思ったり。

 というのも「多様性を認める」ことってそれぞれの正義をなるべく侵すことなく認め合うことだよなと感じているので、どちらか一方に偏り過ぎる作品はマズい感じが出てしまう気がしていて、そういう構図ではやはりスカッとはしない気がするのだ。一方で勧善懲悪ものは流行しているので単純な話でもないのだと思う。ただ「悪を断ずる」姿って前時代的に写る気がする。

『フォーティンブラス』

@シアター・コクーン

0822昼

 知ってる文法で知らない話をすな!

スヌーピーミュージアム

Pale Blue Melt

@ラフォーレ原宿

0828

『シェフは名探偵』

 メインキャストもさることながら、ゲスト俳優のキャスティングが毎回素晴らしい。知ってる顔もそうではない俳優も、役によく合っていて、演技も良い。

 楽しみにしていた第1話の井上小百合と玉置玲央も良かったが、第6話に登場した「プロメテウス少女歌劇団」の人気男役の出待ちや差し入れをしている熱狂的なファン・マキコを演じた辻凪子の粘着質な感じだとか、人との関わり合いが苦手な様子のリアリティが凄まじかった。北斗なつみが結婚して引退することを受け入れられずにいたマキコに主人公のシェフ・三舟忍は自分の人生を生きるよう諭すが、その柔らかさもまた良かった。

『大豆田とわ子と三人の元夫』

 最終回まで視聴。特に最終回は全てのシークエンス、主題歌に至るまで全部が良いドラマだった。

 唄が西園寺くんの「いい奥さん」になろうとすることとそれを止めようとするとわ子のバランス感覚が凄すぎた。私は綿来かごめが生きてゆけない世界に絶望するけど結局世界は「そう」であるように、「ライフをハック」しようと思うとそういう選択肢を選ぶことが「賢い」ことになってしまうよな、と。

 こういう……とか雑な表現をしてしまうが、こういう物語を楽しむとき、「言っても大豆田とわ子って雇われとはいえ社長だし、家族や気にかけてくれる人もいて、なんだかんだ恵まれてるじゃん」というようなくさし方をしまいそうになる自分がいるのだが(特になんとなく心が弱っているときは)、こういう考えが過ぎってしまった己を癒やす最終回EDのSTUTS & 松たか子 with 3exes - Presence V (feat. T-Pablow)が挿入されるあの美しさ!“汚れた靴でもお気に入り 自分らしく生きられたらいい 誰かにとって高級品 でもそれは俺に必要じゃない”!

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』17巻

 143話で早朝から呼吸困難になるほど笑ってしまいご近所に迷惑をかけた可能性がある。

 アンジャッシュのコントとかが好きな自分が喜んでいる気がするのでエンタの神様が好きだった人は好きなんじゃないかな、ハコヅメ。適当に言っていますが。

 

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』別章 アンボックス

 こっちはアンジャッシュのコントじゃない方の「ハコヅメ」!

 

記録:2021年7月

 この後、ウマ娘熱海殺人事件の配役が急に送られてきて怯えた。「私だけの熱海殺人事件」は常時募集しております。(ポストまで)

 

ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学VS不動峰

@TOKYO DOME CITY Hall

0711昼

 全く新しい「テニミュ」。面白くないわけではないけど、個人的には好きではない。大きく変わった点は物語としての側面が強くなり、「月刊プロテニス」の記者・井上守や不動峰中の顧問などの大人の存在感が増したこと。

 旧「テニミュ」は『PEANUTS』だったなと考えていて。要は大人が不在であることに起因して(物語の展開上、越前南次郎は旧「テニミュ」にも登場するので正確ではないのだが)子供だけの論理や力学で物事が進むからこその推進力がある作品だったのだ。「大人」であるわれわれ観客はそのパワーに惹かれていたのだろうし、「テニミュ」世界の法則としてわれわれは決して交わらない/交われない存在だからこそ、客席に降り立った「王子様」と目が合ったり、手を振り合った時にいたく感動していたのだろうと思う。客席降りのない「テニミュ」なのだなぁ。

野田彩子画業10周年記念展

@ヴァニラ画廊

0718

 たっぷり楽しんだ。まだ展示会カタログ開封できていない。

 カタログ含めグッズがまだ通販出来るようなのでよろしければ

ヴァニラ画廊ウェブストア - 野田彩子/新井煮干し子|Yahoo!ショッピング

NODA・MAP 第24回公演『フェイクスピア』

@新歌舞伎座

0722夜

 初のNODA・MAP。久々に頭を使わないとどうにもならない演劇を観た。

 高橋一生、重力を操ることが出来る男なのか?

ミュージカル『衛生』〜リズム&バキューム〜

@赤坂ACTシアター

0725

 クソまみれの日本に送り込まれた家父長制ファッキンミュージカル!石田明は最高の俳優!

One on One - レディーマーメイド/鈴木愛理 x 宮本佳林

 宮本佳林の下ハモ素晴らしいので是非聴いて欲しい。

Permission to Dance/BTS


www.youtube.com

 日常で踊ることが出来るということ!

 アルバムをいただいたのでそのうち開封します!

 

 つかこうへいの命日に公演がなかったので、ブログ記事を上げました。書きそびれていた『改竄・熱海殺人事件』の「ザ・ロンゲストスプリング」から『新・熱海殺人事件』までの荒井敦史の木村伝兵衛部長刑事、コロナ禍の紀伊國屋ホールについてのことを書きました。

記録:2021年6月

 新装・紀伊國屋ホールの幕が開いた6月!忙しすぎて記憶がすっぽり抜けている。

新・熱海殺人事件

0610(初日)/0612/0613(兒玉遥ゲスト回)/0616(スペシャルイベント)

 正直「新」と銘打つには新規性のない公演だったので残念。

 スペシャルイベントではやっと味方良介の菊の花スプラッシュを浴びられたので、やっと無事に成仏出来た。「あのドアを出ると〜」では何らかの重力に抵抗する姿が見られて、珍しいものを見た感覚だった。

 以下の記事でコロナ禍の紀伊國屋ホール荒井敦史の木村伝兵衛部長刑事の変遷について書きました。

boogiewoogie.hatenablog.com

滅多滅多 乱痴気

 平日公演の観劇が難しかったので配信を視聴。加藤ひろたかによる“ちょっとえっちなおねえさん”が最高。

 しかしこの『滅多滅多』、仕掛けが多い。公演後、動画も公開された。

www.youtube.com

A.B.C-Z 今夜はJ's倶楽部 NHKラジオ第1(6月1日)

 恐怖のとつごミニドラマ回。怖い。

『ムギくんの胸のうち』1〜3巻

 触手エロBL漫画でありながら人間と人間とのコミュニケーションがテーマの根底にある名作。新井煮干し子の「人間」への解像度と関心の高さあっての為せる技。更に作者の手数の多さにも震える。現在ゲキオシ漫画。

未来を創る、2作連続の『熱海殺人事件』多和田任益×岡村俊一Pインタビュー

 紀伊國屋ホールこけら落とし公演関連で最も興味深かったインタビュー。多和田さんが初めて出演した「熱海」である『熱海殺人事件 NEW GENERATION』の話から、石田明の熊田についてや、過去に「モンテ」に出演されていた阿部寛さんの当時の裏話、「モンテ」は実はあの作品を元にした作品だった……!という話などなど。つかこうへい没後の「熱海」の歴史から「ニュージェネ」に至った発想、携わった演出家それぞれの多和田さんから見た違いまで!盛り沢山のインタビュー!

enterstage.jp