感想文としては満点

演劇と言葉あそび

Dステ20th「柔道少年」

2017年2月25日 @ABCホール

 今まで生きてきてほとんどD-BOYSという集団に触れてこなかったし、特に今在籍している人たちに関してはほぼ情報がない状態での観劇だったので、内輪ネタの多さに戸惑って居心地の悪さを感じていた上に、津軽弁の聞き取りにくさが余計に疎外感を感じさせるので、序盤は少ししんどかったが、気付いたら全ての登場人物を知らぬ間に応援していて、「頑張れ、頑張れ」と心の中で唱えていた。隙だらけなんだけれども、そこが愛おしく、応援したくなる。そんなかわいいひとたちの物語だった。Dステ特有の空気感みたいなものがそうさせたところもあるんだろう。ここでしか観られないものを観たな、と思った。

 しかし観劇中に立ったのは生まれて初めてかもしれない!ミッチェルかわいいよ、ミッチェル。

「ロミオ&ジュリエット」

2017年2月23日昼公演 @梅田芸術劇場

 古川ファンのお友達にオススメされて観に行きました。おかげで夏の現場が大決定してしまった。オススメしてくれてありがとう〜らぶ。古川さんは生で見るとなおのこと頭身がバカですね。

 つまらない人間なのでロミオとジュリエットのロマンスにはあまり興味を示せなかったのだが、モンタギュー家のすべてがだいすきすぎた。群舞がもうめちゃくちゃに好き。ヤカラ具合が絶妙。そして愛しのマーキューシオさま…♡

 平間さんの細やかな演技がとびきりキュートなところ、ダンスが軽やかなところ、踊ることを自然としてしまうミュージカルをすることへの説得力を持たせるダンスへの入り方、なにより踊るのが楽しくて楽しくて仕方ないんだと雄弁に語る踊りが大好きになって、つまり、これは、ひとめぼれです。マーキューシオさまはたぶん、壮一くんと生きるのが楽しかったと思うんだ。

Hello! Project 2017 WINTER

Hello! Project 2017 WINTER ~ Crystal Clear ~ 2017年2月18日昼公演/Hello! Project 2017 WINTER〜 Kaleidoscope 〜 2017年2月19日

 よかったところをかいつまんで好きに書く

 オープニングで嗣永さんがセンターに来て、「スッペシャルジェネレ〜ション」冒頭の煽りしているのを観て震えるくらいに感動した。しかしあんなに彼女を美しく送り出そうとするハロコンを観ても彼女がアイドル以外の存在になるというのがいまいち、わからないでいる。

 やっぱりわたしは様々なかわいいかわいい女の子たちの中で、格別にJuice=Juiceが好きで、そのだいすきという感情と、更にその5人がみんな歌がうまくて、かわいいということが震えるくらいにうれしい。「みかん」でJuice=Juiceが「せーのっ」ピョンッて5人で一緒に段差降りてたのなんて、可愛くて愛おしくて仕方なかった。贔屓目なのは承知の上だけど、℃-uteが抜けた今、体制を変えずに“グループとして”ライブに挑んできたキャリアはハロプロ内で一番長いわけで、ライブへの“慣れ”を感じたし、そこは誇りにしていていくべきだと思った。

 しかしハロコンに来て気になるのはやはりニューフェイスで、つばきファクトリー「初恋サンライズ」は隣がジャンプしてビクッとなるまでがセットで楽しい。2回目のサンライズに慣れない。いい楽曲もらってデビューしたね。おめでとう。希空ちゃんに不思議な魅力があるなと思っている。

 そしてなんといっても!今回のハロコンで一番魅力的だったシャッフルソングは「バラライカ」!!!牧野梁川小川谷本小野っていうドストライクきら☆レボ世代でのきら☆レボ楽曲に挑戦したハロプロ新世代の頼もしさを感じた。この選曲の何がアツいかって時代が時代ならば絶対にまりあんらぶりんさんが月島きらりを務めていて妥当という確信を感じることが出来ること。牧野さんは本当に頼もしい。

 頼もしさといえばこぶしもめちゃくちゃ頼もしくてよかった。アルバム曲すごくよい。

「あんステ」にみる高次元のIDOL表現を可能にしたマンガ表現のない2.5次元演劇

2017年1月25日 1月27日「あんさんぶるスターズ!on stage 〜Take your marks!〜」

 「2.5次元舞台」という興行をする意義が「演劇」というものにとって、既存のものを破壊する、カウンターカルチャーのような文化として存在あるいは成長してきたのだとしたら、『あんステ』は持ち得る意義が圧倒的に弱いが、しかしその源流に限りなく近い。キャラクターが目の前にいて、キャラクター然としているという2次元キャラクターの立体化そのものの喜びだけで成立しているといっても過言じゃなかった。

 「あんさんぶるスターズ」はゲームシステムの性質上、モブはモブとしても登場しない。「立ち絵」が存在するのは登場キャラクターのみだ。“転校生”をモブとすることは可能だが、「あんステ」はどちらかというと(客席降り時のファンサービスにおいてはモブという扱いだった)観客はすべからく“お客さま”という立場だった。モブが登場せずに、“味方”と“敵”のみで物語が進行していく形式と、好きなキャラクターが目の前にいる喜びが最大化された「あんステ」は、なんだかヒーローショーを観ているようだった。ちなみにfineはヒーローというよりはプリキュアショーみたいに思えて面白かった。fineは特に心配していた要素だったのだが、安井くんは人類が再現し得る限りの“日々樹渉”を見せてくれたし、前山くんのゾッとするような間の取り方や“皇帝”天祥院英智に説得力を持たせる歌声はお見事と言わざるを得なかった。

 私が2.5次元舞台を好きなのは、“マンガ的”不可能を可能にする時、今までに考えつかなかったような手法と、あえて今までにやらなかった手法を使ってみせるチャレンジ精神、演劇の破壊と立ち戻りを一気にやってのけるパワフルさがあるからだ。“マンガ”を演ることは器であると信じたい。しかし、2.5次元の源流ともいえる 好きなキャラクターが目の前に存在する喜び無しに「2.5次元舞台」は存在し得ないことも事実だ。それを追求することを演劇行為としてなにかより下等なものであるように見るようなことはあってはならないのだ。また、この作品が 好きなキャラクターが目の前に存在する喜びの効果が特にあるものだったからこそ、最高に優良な接触現場だったことは間違いない。役としてアイドルが目の前に存在している限り、その裏を心配しなくてよいというのは至極心地がよかった。「あんさんぶるスターズ!」のキャラクターが、ファンが目の前にいてくれて嬉しいという顔をしてくれたとき、猛烈に喜びを感じたし、ときめいた。「アイドルライブ」ではなく「演劇」としてそれをしている限り、中の人がどう思っていようが目に見える形でその表情がある時点でキャラクターの感情に裏はないからだ。アイドルとファンの間に変な駆け引きがないのは接触現場としては最高の魅力だった。

 「あんさんぶるスターズ!」は一応「アイドル養成学園の青春物語」という設定なので、ぶっ飛んだ言動は多少あれど、2次元作品を演劇化するにあたって難所になるような “マンガ的”不可能が、ほとんど存在しない。キャラクターっぽいキメの動きを再現しないとなると、何度も言うがキャラクターがキャラクター然としていることが「あんステ」の2.5次元演劇たらしめるための要項になる。“マンガ的”不可能を抜きにしたキャラクター表現はそのキャラクターをそれたらしめる概念の集合体のような存在に思えて、目の前にいる“実在”しているはずなのに、むしろキャラクターの概念化が進んだのは面白かった。キャストは若手の俳優ばかりなので本業のアイドルに比べて歌やダンスが稚拙ではあったが、概念化された人間が舞台上で輝く様は、“アイドル(=idol:偶像的存在)”のようだったし、忘れかけていた本来アイドルに持つべき心の高鳴りを思い出した気がして嬉しかった。「あんステ」は、本業のアイドルでは表現し得ない、というか俳優がアイドルを演じるからこそ可能になる、より高次元のidol表現を可能にした高度なシステムだった。