君こそがアイドル

4月3日 モーニング娘。’16 コンサートツアー春 EMOTION IN MOTION〜 @フェスティバルホール
 彼女達のパフォーマンスを観ていると常に何かに挑戦し続ける人達のことを“アイドル”と呼ぶのかもしれないなと、ひとつの答えが導き出せた気がした。モーニング娘。ハロー!プロジェクトの世界の中で良くも悪くも“主人公”であるという印象がある。ハロプロのリーダーはほかにいるけれど、センターに位置していることが多いし、その世界のある意味での基準であるけれど、ただ彼女たちはそこに留まることはなく常に成長、変化せんとしていた。その姿はまるで細胞か、ひとつの生命体を連想させたし、ステージの上に“モーニング娘。”の生命力を感じた。
 エースと呼ばれた鞘師里保卒業後、12人での初のコンサートツアーだったが、フェスティバルホールには微かに鞘師里保の息吹を感じたし、更に言えば道重さゆみのそれをも感じた。きっともっと前に卒業したメンバーもそれに同じなのだろうと思う。今までモーニング娘。だったすべての女性の何かがどこかに息づいて、今日もモーニング娘。は生きている。
 中でも目を見張る実力を感じたのは小田さくらの歌声で、ドスを利かせようとも、常に水分量を保った独特のその声は、こちらをゾクっとさせた。また、野中美希の才能と成長を感じられたことも嬉しかった。
 アンコール最後の曲「愛あらばIT’S ALL RIGHT」。大きな大きなかのんコール、歌詞、会場の雰囲気全部に感動して、そのすべてに内包される愛を感じずにはいられなかった。かつて歌と共につんく♂氏がモーニング娘。へ贈った愛、モーニング娘。から客席へ贈られる愛、客席からメンバーへ贈られる愛、そのすべてがどれも美しく、涙が溢れそうになった。

舞台「暁のヨナ」

2016年3月17日 舞台「暁のヨナ」昼公演/夜公演@六本木EXシアター
 2.5次元舞台は十何巻、あるいは何十巻にも及ぶ漫画をいかに数時間のひとつの作品に仕上げるかという試行錯誤から制作が始まることが予想できるのだけれど、完全に事前情報が全くなく理解できるかは定かではないにしても、本作は高いレベルで一本の舞台に納めることに成功していたと感じた。特に本作は単行本14巻から16巻までにあたる「水の部族編」を演るということで、物語の導入をどうするのかと期待していたのだが、ワードや事物を使って現在と過去を交差させることで自然に「暁のヨナ」の世界観を表現していたことに感心した。
 新垣里沙さんの少女然とした表情と声が美しくて、ヨナの魅力がたっぷりと伝えられていたのが何よりも「暁のヨナ」の世界観を確固たるものにしていた要素だと感じた。歌手としての彼女の評判はよく聞いていたが、女優としての才能も見とめることが出来たのと同時に、その張りのある声に、彼女の歌手としての才能をも感じた。

週末の夜は唯一無二の君に恋しよう

 5月11日に発売するモーニング娘。’16のニューシングル「泡沫サタデーナイト!/The Vision/Tokyoという片隅」に収録されている「泡沫サタデーナイト!」、かなりサイコーだぞ!

 かつてのハロー!プロジェクトプロデューサーつんく♂氏はインタビューで“ミック・ジャガーが上手いかどうかとかって歌がうまいか、そうじゃないかということを議論する以前の問題じゃないですか。ロックなんだし、ストーンズなんだから、それでいい、それと同じで、モーニング娘。や、スマイレージが歌ったらこうなる、みたいなことなんです。それでいいんだし、それがロックなんですよ。”と語っている(「Quick Japan」vol.98『つんく♂の見据える視線の先』より)。モーニング娘。あるいはハロー!プロジェクトという集団は、唯一無二のなにかを持った女の子達が輝ける場所なのだ。

 そこで最も注目したいフレーズは「私にしかきっと踊れない そんなビートがある」。このフレーズは、ハロー!プロジェクトつんく♂氏がプロデューサーを退いた今もつんく♂氏の目指したハロプロイズムが継承されていっている論拠になるのではないだろうか。

 この楽曲の作詞作曲は赤い公園の津野米咲である。SMAPの「Joy!!」を手掛けたことでジャニーズファンにはお馴染みなのではないだろうか。この楽曲を紹介するにあたり、特筆すべきは現在を生きるイマドキの女の子の週末の夜を描いた楽曲であるということ。さて、再びジャニーズファンに問うが“週末の夜”と聞いて思い浮かべる楽曲がないだろうか。ジャニーズ楽曲大賞2014で他と圧倒的な差をつけて1位を獲得したHey!Say!JUMPの「ウィークエンダー」だ(ジャニーズ楽曲大賞が楽曲の優劣を競うものではないことは周知のことだが、「ウィークエンダー」が多くのジャニーズファンに支持された楽曲であったこともまた言うまでもない事実だろう)。「泡沫サタデーナイト!」は「ウィークエンダー」とはまた違った、キャッチーであるがグルーヴを感じるファンキーなディスコであるし、「ウ!たかた!ウ!たかた!」というコーラスや、リズムに「うふふ」と歌詞を乗せる等の天才的かつ変態的なセンスを見せるハロプロらしさが見える作りとなっているし、前述の通り現在のモーニング娘。にもハロプロイズムが継承されていることを示す楽曲だが、楽曲のコンセプトはモーニング娘。’16流の“ウィークエンダー”と言えるだろう。そして「Joy!!」もまた多くのジャニーズファンに高評価を受けた楽曲である。そのような点でジャニーズファンには必聴の楽曲と言える。

 自由でロックな女の子達が歌って踊って楽しそうにしている姿が大好きだ。その様は私にとって希望で、これからも出会った頃と同じまま、ハロー!プロジェクトがそのような集団であって欲しい。だから週末の夜は、永遠にこの楽曲で「きみ」にしか踊れないビートで踊る唯一無二の「きみ」に、恋したいし、これを読んだあなたにも恋して欲しい! 


モーニング娘。'16『泡沫サタデーナイト!』(Morning Musume。'16[Ephemeral Saturday Night]) (Promotion Edit)

Hello!Project 2016 WINTER

2016年1月24日 Hello!Project 2016 WINTER 夜公演@オリックス劇場
 2014年夏以来のハロコン。その頃と比べて随分とユニットも人数も増えたので、出演者全員が歌って踊っている光景は迫力満点だった。しかもステージのどこを見ても可愛い子しかいないし、皆がスキルが高いのでその様はまさに壮観だ。ハロプロはサイコー。
 中でも面白かったユニットはこぶしファクトリー。2月17日に2ndシングル「桜ナイトフィーバー/チョット愚直に!猪突猛進/押忍!こぶし魂」が発売された、まだフレッシュなグループなだけに勢いがあるし、何より楽曲がいい。
 本公演で披露されたこぶしファクトリーの楽曲は1stシングルから「念には念(念入りver.)」、そして2ndシングルから「桜ナイトフィーバー」。「桜ナイトフィーバー」はKANの楽曲のカバー曲。この楽曲の聴きどころはなんといっても“夜は眠りたい”というパート。ここのパートが“れなこ”こと小川麗奈と“たぐっち”こと田口夏実にあてられているのだが、それぞれのソロパートが超キュート、かつ“とことんポップなディスコナンバー”である楽曲から、どこかほのかに感じるリリカルさを演出し、楽曲に華を添えている。桜からの視点で、日本人のおかしなところを軽やかに描いているこの楽曲、人間はみんな桜をライトアップして夜になっても酒飲んでドンチャン騒ぎしてるけど僕らだって生き物なんだ「夜は眠りたい」!そんな桜の可愛い本音を代弁するたぐれな、「桜の精なのでは!?」ってくらい超キュートなので本当に聴いて欲しい!!!!!

 どんどん輝いていく可愛い女の子たちを定点観測するのが超楽しいので、これからは各公演1ステージは観られるように努力したい所存。