週末の夜は唯一無二の君に恋しよう

 5月11日に発売するモーニング娘。’16のニューシングル「泡沫サタデーナイト!/The Vision/Tokyoという片隅」に収録されている「泡沫サタデーナイト!」、かなりサイコーだぞ!

 かつてのハロー!プロジェクトプロデューサーつんく♂氏はインタビューで“ミック・ジャガーが上手いかどうかとかって歌がうまいか、そうじゃないかということを議論する以前の問題じゃないですか。ロックなんだし、ストーンズなんだから、それでいい、それと同じで、モーニング娘。や、スマイレージが歌ったらこうなる、みたいなことなんです。それでいいんだし、それがロックなんですよ。”と語っている(「Quick Japan」vol.98『つんく♂の見据える視線の先』より)。モーニング娘。あるいはハロー!プロジェクトという集団は、唯一無二のなにかを持った女の子達が輝ける場所なのだ。

 そこで最も注目したいフレーズは「私にしかきっと踊れない そんなビートがある」。このフレーズは、ハロー!プロジェクトつんく♂氏がプロデューサーを退いた今もつんく♂氏の目指したハロプロイズムが継承されていっている論拠になるのではないだろうか。

 この楽曲の作詞作曲は赤い公園の津野米咲である。SMAPの「Joy!!」を手掛けたことでジャニーズファンにはお馴染みなのではないだろうか。この楽曲を紹介するにあたり、特筆すべきは現在を生きるイマドキの女の子の週末の夜を描いた楽曲であるということ。さて、再びジャニーズファンに問うが“週末の夜”と聞いて思い浮かべる楽曲がないだろうか。ジャニーズ楽曲大賞2014で他と圧倒的な差をつけて1位を獲得したHey!Say!JUMPの「ウィークエンダー」だ(ジャニーズ楽曲大賞が楽曲の優劣を競うものではないことは周知のことだが、「ウィークエンダー」が多くのジャニーズファンに支持された楽曲であったこともまた言うまでもない事実だろう)。「泡沫サタデーナイト!」は「ウィークエンダー」とはまた違った、キャッチーであるがグルーヴを感じるファンキーなディスコであるし、「ウ!たかた!ウ!たかた!」というコーラスや、リズムに「うふふ」と歌詞を乗せる等の天才的かつ変態的なセンスを見せるハロプロらしさが見える作りとなっているし、前述の通り現在のモーニング娘。にもハロプロイズムが継承されていることを示す楽曲だが、楽曲のコンセプトはモーニング娘。’16流の“ウィークエンダー”と言えるだろう。そして「Joy!!」もまた多くのジャニーズファンに高評価を受けた楽曲である。そのような点でジャニーズファンには必聴の楽曲と言える。

 自由でロックな女の子達が歌って踊って楽しそうにしている姿が大好きだ。その様は私にとって希望で、これからも出会った頃と同じまま、ハロー!プロジェクトがそのような集団であって欲しい。だから週末の夜は、永遠にこの楽曲で「きみ」にしか踊れないビートで踊る唯一無二の「きみ」に、恋したいし、これを読んだあなたにも恋して欲しい! 


モーニング娘。'16『泡沫サタデーナイト!』(Morning Musume。'16[Ephemeral Saturday Night]) (Promotion Edit)

Hello!Project 2016 WINTER

2016年1月24日 Hello!Project 2016 WINTER 夜公演@オリックス劇場
 2014年夏以来のハロコン。その頃と比べて随分とユニットも人数も増えたので、出演者全員が歌って踊っている光景は迫力満点だった。しかもステージのどこを見ても可愛い子しかいないし、皆がスキルが高いのでその様はまさに壮観だ。ハロプロはサイコー。
 中でも面白かったユニットはこぶしファクトリー。2月17日に2ndシングル「桜ナイトフィーバー/チョット愚直に!猪突猛進/押忍!こぶし魂」が発売された、まだフレッシュなグループなだけに勢いがあるし、何より楽曲がいい。
 本公演で披露されたこぶしファクトリーの楽曲は1stシングルから「念には念(念入りver.)」、そして2ndシングルから「桜ナイトフィーバー」。「桜ナイトフィーバー」はKANの楽曲のカバー曲。この楽曲の聴きどころはなんといっても“夜は眠りたい”というパート。ここのパートが“れなこ”こと小川麗奈と“たぐっち”こと田口夏実にあてられているのだが、それぞれのソロパートが超キュート、かつ“とことんポップなディスコナンバー”である楽曲から、どこかほのかに感じるリリカルさを演出し、楽曲に華を添えている。桜からの視点で、日本人のおかしなところを軽やかに描いているこの楽曲、人間はみんな桜をライトアップして夜になっても酒飲んでドンチャン騒ぎしてるけど僕らだって生き物なんだ「夜は眠りたい」!そんな桜の可愛い本音を代弁するたぐれな、「桜の精なのでは!?」ってくらい超キュートなので本当に聴いて欲しい!!!!!

 どんどん輝いていく可愛い女の子たちを定点観測するのが超楽しいので、これからは各公演1ステージは観られるように努力したい所存。

Juice=Juice/NEXT YOU ミニライブ&握手会

2016年1月30日 Juice=Juice/NEXT YOU「カラダだけが大人になったんじゃない/Next is you!」予約イベント ミニライブ&握手会 1部2部 @西宮ガーデンズ
 久しぶりに野外でのイベント。かなり寒かった。寒くて、その寒さが身に堪えるのを理解した上で、しかし朋子がつらそうなことが何よりもつらかった。

 この頃は本当に嫌なムードが流れていて、しんどかったけど、でも何日か考えて、やっぱり朋子が諦めない限り私は諦めたくないという考えに行き着いた。応援するってそういうことだと思う。きっと症状は改善するし、今はきっと我慢の時期なんだろうと思った。

 ライブ自体はとても楽しかった。Juice=Juiceはいつも歌がうまいし、踊りも下手な人はいない。紗友希がだちまゆを演じることを経てMCが上手くなったんじゃないかなと感じた。NEXT YOUとしてのパフォーマンスには、客側は戸惑いつつも、あたたかく応援していたし、Juice=Juiceのミニライブの時もアットホームで良い時間が流れていたと思う。
 握手はNEXT YOUと話すことが見つからず、Juice=Juiceとの握手もイマイチ言いたいことが伝わらず(寒くて声が思うように出なかった)、握手下手になったことにヘコんだ。まぁ、握手はオマケだと思っているのでいいとする…。

スーベニア〜騒音の歌姫〜

2016年3月10日「スーベニア〜騒音の歌姫〜」昼公演@サンケイホールブリーゼ
 「ファウスト〜最後の聖戦〜」製作陣による舞台。わかっていながらもどうしても大我くんの演技をちゃんと観てみたくて観に行ったのだが、幕間の時点で既に後悔していた。
 ファウストの時も感じたのだけれど、この製作陣は説得力を持たせるのが下手くそだなと思う。軸の必然性があれば多少の粗くらい気にならないくらい夢中になれるのに、それがないのだ。俳優の技量もあるだろうけれど、本が良くなければ演技の力は活きないだろう。彼らはいつも言葉足らずであるし、プロセスを蔑ろにするのが得意だ。
 物語のテーマは実在の歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスから伝わる「音楽」の素晴らしさ、或いはその人そのものの魅力のはずなのだけれど、まず第一にジェンキンスの魅力が伝わってこない。かなりの音痴であるにも関わらず、歌手になるという夢を持った金持ちの道楽に嫌々ながらも付き合っていた周囲の人間が、ジェンキンスの音楽に取り組む姿勢に次第に心打たれ、全力で彼女をサポートするようになるというストーリーだが、いくら本人に音痴の自覚がないにせよ、真剣に音楽に取り組んでいたにせよ、彼女自身に多分の魅力が無ければ周囲の人間が彼女についていくとは思えない。そして、彼女のように周囲の人間さえも虜に出来ない人間が、観客を虜に出来るはずはなく、観客はただただ下手に歌われる楽曲を聴かなければいけない。そんな苦痛な時間がこの舞台の大部分を占めていた。欲しいのはこんな不快にしかならないシーンではなく、もっと人間味溢れたキュートなジェンキンスが描かれているシーンだった。

 また、ジェニス・シンプソンまでも知らないうちにジェンキンスに魅了されていたのだが、商業的にライバルである彼女がジェンキンスに心打たれるシーンこそ、彼女の魅力を効果的に知らせることが出来る絶好のチャンスだったんじゃなかろうか、そんなシーンが欲しかった。

 コスメ・マクムーンを演じるオレノグラフティの演技はとてもキュートで心惹かれた。だからこそなおジェンキンスに振り回されるコスメが可哀想でつらかった。