感想文としては満点

演劇と言葉あそび

記録:2021年11月

二兎社公演45『鴎外の怪談』

@東京藝術劇場シアターウエス

1113昼/1205東京千穐楽

 森鴎外の日常をユーモアたっぷりに描くことで、文学者でありながら軍人としても地位のある鴎外の、文学者としての自分と言論・思想の自由に対する統制を日増しに強める政府と近しい立場にある自分の矛盾に、彼が苦悩した事にスポットを当てた作品。

 いわゆる「怪談」のホラー作品ではないが、鴎外が迎える結末は彼にとっては「怪」であることに違いないだろう。

 鴎外は天皇暗殺を企てたとして多くの無実の者が逮捕され死刑判決を受けた「大逆事件」に体制側と容疑者の弁護側のどちらの立場からも関わることになってしまうが、文学者として作品で暗に政府を非難しながらも、軍人としては裁判を行う前からシナリオを用意する体制側に「裁判は正しく行うべきだ」と進言する勇気を持たずにいた。そんな彼や大逆事件に対して心を揺らす永井荷風に、私は時同じくして少年ジャンプ本誌『呪術廻戦』に登場していた日車寛見を見た。

 まさに日車寛見の東京藝術劇場シアターウエストでの登場時の態度は、荷風が放った「真面目が不真面目に勝ったことがあるか?」であり、これは真面目に生きようともがくひとびとの心の底に澱んだ諦念と言える。開き直った態度を見せたとしても、平気な振りを演じていたとしても、口にするほどきっと傷つく。その傷だらけの心を美しいと思う。

 今この時代/制作の記念の年に、この作品を演る意味は明確で、明らかに伝えていることとしては「いつの時代も醜悪な日本人と政治!」であるとしか考えられないが、荷風が嘆いていたことと同じことで思い悩んでいるだけではあまりにも進歩がなさすぎるから、せめて一歩先の語りをしたいが、なかなか難しい。実際われわれは今どこにいるのだろう。

修羅雪姫

@CBGKシブゲキ!

1119初日

 おかえりずーみんちゃん!!!!!

 相変わらずの生命力で、彼女が戻ってこられないわけがないのだよなと改めて感じた。必然を創り上げられる素晴らしい俳優。

 あずみ初日の公演後に突然決まった挨拶で「こんな私のために」って言ってた彼女がすごく印象に残っていたのだが、今回作中で今泉佑唯演じる雪が「私なんか」って言う度にそのことを思い出したりしていた。みんな雪が好きだしずーみんちゃんが好きだからここまでのことをするのだ。

 噂に聞いていた高橋龍輝の迫力は想像以上で、やっと出会えて嬉しかった。また劇場でお会いできることを楽しみにしている。

 そして全く異なる二役で魅せてくれた吉田智則!好き!

 1月16日にTBSチャンネル1にて再放送があります。

今泉佑唯主演 舞台「修羅雪姫」|音楽 / 演劇・舞台|TBSチャンネル - TBS

機界戦隊ゼンカイジャーショーシリーズ第3弾<11月特別公演>

@シアターGロッソ

1127×2

 初めてのヒーローショー!

 冒頭にGロッソのお姉さんと界人が絡む場面があり、「Gロッソとは何たるか」をいきなり見せつけられた気がして興奮した。

 他にも敵キャラながらも結局良いように界人たちに丸め込まれるステイシーに萌えてる戦隊おじさんの気配を感じたりして、「良い空間だな」と思った。楽しかった。

 キャラクターとしての挨拶中に駒根木くんに演技プランをめちゃくちゃにされたのを必死に立て直そうとする世古口くんを見て、久しぶりにこういう若手俳優仕草を見た気がするなと思ってホッコリしたりもした。久しぶりにこういうものを見た。