感想文としては満点

演劇と言葉あそび

【速水刑事観察日記】はやぴギャル爆誕

 私の周辺では速水を演じる菊池くんがかなり評判いいのだが、私も遅ればせながら(といってもまだ初日から3日)はやぴギャルの人格を得た。今後も、より可愛くより格好良くより錯乱するはやぴに期待。今日も今日とて怒られていました。今日は大山と水野だけでなく伝兵衛までに怒られる始末。頑張れ、はやぴ…!負けるな、はやぴ…!

 まあ、実はでんでんでんすけの方が好きだったりするのだが。

 

 さて、速水刑事観察日記というタイトルをつけてはいますがこのシリーズは「モンテカルロ・イリュージョン」観劇日記としたいと考えております。15日は最前だったので細かいところもよく見えました。

 何故捜査の間俺に恨み言もひとつも言わなかったんだと問われた水野の「そう躾けられましたので」を踏まえてみると、伝兵衛が大山と再会して早々に木村を含むオリンピック選手団がオリンピック出場を拒まれた原因となる事件について責め立てる水野の表情が絶妙でした。それから大山に殺される水野(アイ子)をじっと見つめている伝兵衛がとんでもなく美しかった。

 

 基本つか作品って、難解。演ってる役者もわからないなりに模索しながら踠いていて、その様や本質だけを捉えた魂の叫びが美しいところが魅力だと考えている。しかし極限までシンプルな構成になっている「本来の」熱海殺人事件よりも様々な要素が追加されているはずの『改竄・熱海殺人事件』の「モンテカルロ・イリュージョン」は観ていてそんなに難解じゃない気がしてくる。それは中屋敷さんもまたつか作品の観客だったからなのかなと考えながら、今日は観ていた。中屋敷さんの中に作品の解釈があって、それを元に再構成されているからどこか一本筋が通っていて難しくない。もちろん持つべき熱は素晴らしい役者たちが持っていてくれるから、「熱海」の持つ良さは失われていないし、異端でありながらも案外初心者向けの「熱海」なのかもしれない。3週間かけたのではないかくらいの成長を3日でやってのけるこの座組の狂気をやっぱり色んな人に観てもらいたいな。

 


『改竄・熱海殺人事件』スポット映像