感想文としては満点

演劇と言葉あそび

【本日の現場】舞台「文豪とストレイドッグス」

2018年1月12日 昼公演 @森ノ宮ピロティホール

 ただただ多和田くんが観たくてチケットを取った。チケット外れたらまぁ行かなくてもいいや〜、くらいの心算で最速先行申し込んだら意外とサクッと当たったので驚いたけど、よく考えたら冬休みでもなんでもない平日の昼公演だった。同行者に言われて気付いた。かなり抜けてる。当たってから同行者に「来るでしょ?」とか抜かした。来てくれた。いい友人を持ちました。相変わらず計画性に難があるが金曜日だったし、結果的にはいい息抜きになったのでチケット取ってよかった。

 初めて原作未読の2.5次元作品を観たと思い込んでたけれど、これに関してもよく考えれば「NARUTO」も「テニスの王子様」も原作を読んだことがなかった。しかし流石にNARUTOテニプリも日本で普通に生きていればナルトっていう金髪で忍者見習いの男の子が主人公だとか、テニス漫画だけどボールが消えたり燃えたりしたりしなかったりするとかそういうレベルの知識はつくものなので、完全にまっさらな状態で観たのは初めて。意図的にそうしたところもあったとはいえ理解出来なかったり楽しめなかったらどうしようかと直前まで不安に思っていたけれど幕が上がってみれば面白いし、わかりやすいし、とても楽しめた。あの客層にぶつける演劇としては満点だったのではないだろうか。「文スト」の客層、語弊を恐れないで言えば基本的には演劇とは交わらない層だと思うし、実際目の前の座席のふたり連れの女の子が公演中に何度かヒソヒソ話していたのも見たけれども、異能力バトルを身体表現で表現する演劇らしさが普段演劇を観ている人間としては楽しくて、そしてその組み合わせのギャップが普段演劇と交わらない人にとっては“2.5次元らしく”て楽しかったのではないかと思う。観劇ってお金がかかるだけで崇高な趣味とかではないわけだし、気軽に観てねという意味での乱歩くんの客席降り(舞台から降りてきたわけではなく開演時間と同時くらいにわりと突然客席に現れたので客席降りというかもはや降臨…)台詞「現代演劇ってのは堅苦しいね、歌舞伎なんかは客席で飲み食いしていいのに」なのかもしれない。原作ファンではない上に“2.5次元”は演劇にとって演劇をもっと自由なものにしてくれるカウンターカルチャー的な存在だと考えているので、台詞においてのみ言えばこれが一番グッときた。こういうことをこの場で言わせるセンスよ。

 立ち絵みたいにキャラクターがキャラクターとして見得を切る場面が複数回あり、それが中屋敷さんらしいと思った。すごく人なつこいというか、少なくとも出演俳優のことは心の底から大好きな人間だと思うので、「みてみて!この人めちゃくちゃかっこいいでしょ!」というのを見せられている気がしてどこか微笑ましさすらあった。見ただけではもちろんそんな雰囲気なくバシッと決まってかっこいいのですが、演出家のオタクなので…。そして当たり前の事実を敢えて言うけれども多和田くんがかっこいい。立ってるだけでかっこいいし、トレンチコートを靡かせる姿は世界が恋してもおかしくないレベルのかっこよさ。文ステを見てしまったら最後、多和田くんの見目を褒めることしか出来なくなる。そしてあのスタイルと顔面の良さで腹の中を明かさないおちゃらけたキャラクターを演じているのがたまらないので多和田くんをあのキャラクターにキャスティングした人間は天才。

 橋本くんは感情の爆発のさせ方が上手い。一蹴りで感情の最大値まで飛んでいってしまうイメージ。感情の瞬発力といえばいいのだろうか。ハイステでは常にハイなキャラクターを演じていたので気付かなかったが、この瞬発力は彼の長所だと思う。

 正直、特にアンサンブルとの連携面で練習不足を感じて面白かっただけに残念だと感じたり、面白かったので構わないがデートの場面のダンスシーンが謎だったりもしたのだけれど、観たかったものは観られたので満足。