感想文としては満点

演劇と言葉あそび

原石はどんな夢を見るか

2018年9月17日 メタルマクベス disc2 @IHIステージアラウンド東京

 いかにIHIステージアラウンド東京の座席で回ることが楽しいかだとか、いかに「メタルマクベス」が面白いかだとかを書こうと2ヶ月ほど考えていたのだけれど、結局わたしは原嘉孝くんが素晴らしい芸人(ここでいう芸人とはお笑い芸人のことではない)であるかということしか語れないような気になったのでそれを記しておきます。あともう一度くらいは回りたいので、どうにかネルケプランニングはステアラ最後の年を抑えてくれ。

 

 原嘉孝くんについて私が持ちうる情報は多いようで少ない。彼のことを認識してから4〜5年は経っていると記憶しているが、彼が踊っている(あるいはドーベルマンの格好をしている)姿しか殆ど見たことがない。尾上松也のファンより、大原櫻子のファンより、少しだけ知っている。その程度だ。

 レスポールJr.というのが彼が演じた役だ。主役のランダムスターに父を殺され国を追われる王子の役。

 上手かった。当たり前のようにIHIステージアラウンド東京に立ち、自然の摂理のようにセンターで歌って踊っていた。この物言いは失礼かもしれないが、本当に驚いた。

 彼の本職は踊ることと歌うことだが、演技もそこらの若手俳優よりよっぽど上手いと感じたその理由を考えていた。観劇から2ヶ月ほど経って考えた結論としてはジャニーズJr.というのはこういう存在なのだなということ。原石は磨き上げれば宝石に成るかもしれないけれど、それだけでは多分遅い。原石を原石としても輝かせられるひとたちが残っている場所だった気がする。原石を宝石にする為の研磨と原石を原石のまま輝かせる研磨は恐らく努力のベクトルとギアが違う。彼は丹念にどちらの作業にも向き合って磨いて準備してきた人だったのだろう。ジャニーズJr.のある意味での器用貧乏さってこういうところなのかもなあ。むしろ何も持っていない人の方が「デビュー」してしまうのかも。この時代に「デビュー」が目指すべき唯一の正しい道だとは思わないことを前提として。

 レスポールJr.は宝石になる為に生きてきて、どうにかこうにか原石として輝いた人だったなあ。

 ユッケはもう食べない努力。そういう極端な努力だけじゃあ、たぶんダメなんだなとわたしは思うのですが、いかがでしょう。少なくともわたしはユッケを食べる方向で努力する人が好きです。

 

 

 おもしろい俳優になってねとわたしは思うのですが、すきなように、なるべくなるべくなるべく長くこの世界で活躍してください。