感想文としては満点

演劇と言葉あそび

舞台「暁のヨナ」

2016年3月17日 舞台「暁のヨナ」昼公演/夜公演@六本木EXシアター
 2.5次元舞台は十何巻、あるいは何十巻にも及ぶ漫画をいかに数時間のひとつの作品に仕上げるかという試行錯誤から制作が始まることが予想できるのだけれど、完全に事前情報が全くなく理解できるかは定かではないにしても、本作は高いレベルで一本の舞台に納めることに成功していたと感じた。特に本作は単行本14巻から16巻までにあたる「水の部族編」を演るということで、物語の導入をどうするのかと期待していたのだが、ワードや事物を使って現在と過去を交差させることで自然に「暁のヨナ」の世界観を表現していたことに感心した。
 新垣里沙さんの少女然とした表情と声が美しくて、ヨナの魅力がたっぷりと伝えられていたのが何よりも「暁のヨナ」の世界観を確固たるものにしていた要素だと感じた。歌手としての彼女の評判はよく聞いていたが、女優としての才能も見とめることが出来たのと同時に、その張りのある声に、彼女の歌手としての才能をも感じた。