感想文としては満点

演劇と言葉あそび

【思考メモ】「2.5次元演劇」における正しさとは

 演劇の一ジャンルとしての「2.5次元演劇」に興味があって、「2.5次元演劇」を興行する意味だとか、面白さだとか、「2.5次元」における正しさだとか、このコンテンツを取り巻く様々な論理、感情を考えたり触れたりすることが好きです。

 この記事はそれを探るための思考をメモしたものです。いつか文章化したい気持ちがあります。

 きっかけはGYAOで無料配信された2ndシーズンの四天宝寺公演についてのツイートから。

 もちろんこのお便りをくれた方の「原作準拠だから正しい」という視点も、「正しさ」の一つだと思います。あくまでわたしのツイートであらゆる正しさの話はしていなかっただけで。

 ※正しくはしらいしくん「に」ですね。不二くん「が」です。

 

 

ファンレターの代わりに

 四天宝寺公演のことしか考えたくないので、大好きで大好きで大好きなミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 青学VS四天宝寺公演の四天宝寺のみんなの話をします!

 

白石蔵ノ介役 増子敦貴くん

 この公演で一番観ていた人。元々紀伊国屋ホールで観たことがある人だから期待もありつつ、部長で大丈夫かなあという気持ちもありつつ、でもやっぱり一番楽しみにしてた人でした。変化に富んだ彼のお芝居は観ていて最後まで飽きることはありませんでした。最高の白石蔵ノ介くんをみせてくれてありがとう。

小石川健二郎役 安東秀太郎くん

 公演序盤では、折角彼にも役が与えられたのだから何か活躍出来る場面を与えてあげるべきではと他人事ながら勝手に心配に思っていましたが、段々とベンチでの動きが多彩になり、色々な人と絡むようにもなり、安心して観られるようになりました。やっぱりどこか精神的支柱であったし、いてくれてよかったと思います。素敵な副部長でした。

千歳千里役 江本光輝くん

 グングンと演技が上手くなっていく様子に胸がすくような気持ちですらありました。元々悪いとは思っていなかったけれど、大阪公演後半から随分と「千歳千里」が板についてきたように感じられました。二翼対決は確実に四天宝寺公演に深みを与えていたし、「百錬自得の極みVS才気煥発の極み」は実はこの公演で一番好きな曲でした。堂々とした姿、とってもかっこよかったです。

金色小春役 森田力斗くん

 とにかくダンスが上手く、身体能力も高い。トルネードスネークを受けてあんなに跳んでるとは思わず初めてそれを目にした時は驚きました。肝っ玉も据わっていて多少のことでは動じずアドリブで切り返す様はアッパレの一言でした。四天宝寺お笑い番長、ここにあり。

一氏ユウジ役 谷津翼くん

 ダンスが自慢とのことでしたが、歌もとっても上手い。校歌の歌声に重量感があるのが好きでした。ベンチでは小春ちゃんと二人で金ちゃんのお守りをしていた姿が印象的です。谷津くんの演じる可愛いユウジ、大好きです。

忍足謙也役 千田京平くん

 おかえりなさい。

 やっぱりわたしの青春は2012年の夏にあって、それでも二度目の青春を連れてきてくれたのがテニミュで。その上に2012年の苦い記憶をアップデートまでしてくれたテニミュは大げさかもしれないけどやはりわたしの救済であるなあと、結構本気で思っています。まあ、これは彼には関係のないことですが。

 最初はテニミュの舞台に彼が立っていることが不思議でならず「千田京平」として見ていてしまった節がありましたが、彼の忍足謙也として誠実であろうとする姿や演技を見てすぐにそのフィルターは取っ払われました。初の演技のお仕事、だと、思うのですが、粗削りではあるものの序盤から一貫して要点で最適解の表情が出来ていたように思えたので演技の才能があるのだと感じています。目が大きいのも舞台役者としては大きな強みだと思うので、これからも活躍してもらいたいなあと思っています。まずは仮面ライダー斬月ですね。いてまえ!

石田銀役 森一平くん

 試合での落ち着いた佇まいと確かな力強さが魅力的な銀さんでした。そして校歌の動きがとにかく可愛い。大阪公演での凱旋挨拶や節分の年男挨拶で喋らせればすごく弾けているけれど練られたトークが面白いし、色々な面が見ることが出来たように思いました。トークパーティでも期待してます。

財前光役 廣野凌大くん

 多くのファンを魅了した感情豊かな財前くんでしたね。わたしも勿論好きでした。クールと思われがちなキャラクターを、しかし表現者として観客に伝わるように表現することは難しいことだったと思います。「ないこと」が「ある」と見せるわけだから(これはある俳優の表現を引用しました)。それでもやり遂げたから多くの人を虜にしたのだと思います。

 客席降りでも財前光の姿勢は崩さず、でも隈なくハイタッチしてくれていました。一度、ハイタッチする振りをしてから手を避けて悪戯っ子みたいな顔をして笑っていた彼を見かけました。その後に優しい顔できちんとハイタッチをし直してあげていたことを含め、印象に残っています。

 四天宝寺公演の解釈に確実に新たな視点を与え、日替わりパートでも大きく貢献してくれていたこの公演の功労者だと思います。

遠山金太郎役 平松來馬くん

 誰よりも彼が彼で良かった。そのように思います。楽しそうにテニスをする姿を見るたびに心が躍ったし、元気をもらえたし、笑顔になれた。光で太陽でテニスです。

 四天宝寺は公演を重ねる毎にパワーアップしていくキャストが多かった印象ですが、來馬くんはずっとずっと変わらずにそこにいてくれました。それは決して悪い意味ではなく、最初から最後まで変わらずブレずに「遠山金太郎」だったという意味です。金ちゃんは四天宝寺の象徴的な存在だから、ブレずにいてくれて本当に良かった。

 そんな來馬くんの金ちゃんだったから、最後の「行くで四天宝寺!」にいつも以上の熱が籠っていたことに余計に胸が熱くなりました。

渡邊オサム役 碕理人さん

 オサムちゃんがいてくれたからすっごく楽しかった!そう思います。日替わり、いつもいつも楽しかったな。

 渡邊オサムとして四天宝寺を支えるという決断をしてくれたことに感謝。

 凱旋から追加された「どこから登場するんや!?」の後の長めのフリと「スマイル・アンド・ティアズ」を踊る姿、客席に不器用にハートを作る姿が好きでした。

2018年総決算 〜前編〜

 2018年の目標がすべての観劇記録をつけることだったのですが、どうやら難しいらしいということに気付き始めてきたので書きかけてる分以外の感想はこちらにまとめて所感を書こうと思います。

 舞台が少し合わなかったり、その時期にバタバタしてるとなかなか全部書くのは難しいですね。

 

MAPS

2018年6月22日観劇 @ABCホール

 「快楽至上主義者」のパーフェクトグラフィティケーション、「永遠なる怖れ」のインフィニティアフリード、「哀しみの奴隷」のザ・スレイブサッドネスという妖精のような化け物のような存在が3つの物語が交錯し合う中で闘いを繰り広げる話(ではないのだが、本質を探るとそうなる)。結局のところ、楽しいだけの人生は上手くいかないし、かといって怖がっているだけでは何も進まなく、哀しさも時に必要であるというような人生論の話だった。

 響く時は響くのかもしれないけれど、当時、かなり疲弊していて心理状況が舞台上の展開と酷似していたために、あまり楽しめなかった。物語の構成も少し煩雑になりすぎていたような気もする。

 多和田くんは骨格を殺す服を着てもスタイルが良くてすごい。

 

新・幕末純情伝 FAKE NEWS

2018年7月10日観劇 @紀伊国屋ホール

 紀伊国屋で観るつか作品はやはり良い。

 味方はやはりとんでもなく良く、小松田中増子あたりの所謂若手俳優勢もかなり頑張っていて大変良かった。北原さんは、ちょっと、舞台女優としてはどうかな…。今年の熱海が味方さん以外スロースターターだった印象なので、その点では幕末の方が安心して観られたかもしれない。

 これは無論、己の不勉強さが理由ですがオタクなのに幕末(新撰組)を履修していないのでストーリーそのものは観ていてストレスがあった。そろそろ履修したい。

 

半神

2018年7月21日観劇 @松下IMPホール

 乃木坂46桜井玲香さんと日本舞踏家の藤間爽子さんがW主演で、身体の一部を共有する双子の姉妹という役を演じていた。

 柿喰う客のメンバーが多く出演していて、舞台美術も中屋敷法仁お得意の八百屋舞台。これだけでも見応えがあったけれども、主演の2人がとても良かった。美人であるはずの桜井さんは醜い姉を演じ切っていたし、藤間さんの赤子のような妹の無垢さも良かった。きちんと演劇が出来る2人で良かったと思った。

 原作を読んでから観るか、もう一度観るかしたかった。

 

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学VS氷帝

2018年8月12日観劇 @メルパルク大阪

 楽曲が合わなかったのと、全体的に試合がアッサリ進んでいった気がして不完全燃焼で終わった印象だった。

 青学と比嘉試合シーンの回想が丹念に描かれていたのが嬉しかった。六角の時もあったのを思い出して、その時は気にも止めなかったけど青学キャストが卒業しても物語の連続性があることを示すために必要なシーンだと気付いた。

 リョーマが先輩に教わったことを思い返すシーンはどうしても9代目のみんなを思い出してしまったけれど、それは確かに否定的な感情ではなくて、良かったなあと思った。少しずつ受け入れられてたみたいだ。

 ヘビーレインの皆木一舞の風格が昭和歌謡を歌うアイドルスターでした。良かった。この公演1番のお気に入りポイント。

 

マリーゴールド

2018年9月8日観劇 @梅田芸術劇場シアタードラマシティ

 三津谷が優勝!!!!!!!!!!!!!!

 コメディもシリアスも演じられて身体性もある最高な役者。とんでもなく抜群に良かった。綺麗よ、ソフィ。

 

CURIOUS

2018年9月11日観劇 @中之島ビッグトップ

 サーカスを初めて観たけれども、とっても面白かった。上手い人間しかいないので。

 サーカスという演目の性質上構成が飽きさせないものになっている(大体披露する芸が段々とすごくなる)だけでなく、ストーリー仕立てなのと、舞台美術が凝っているため最初から最後までずっと楽しめました。

 ツイログ:身体性が高すぎると逆に身体はモノ化する

 

夏の夜の夢

2018年9月16日観劇 @三越劇場

 演出がなんのひねりもなくてつまらなかったけど、古典で三越劇場だからまぁいいか…。

 流石に日本語がおぼつかないキャストを日本語劇に起用するのはいかがなものか…というのが配役に対する素直な感想。ましてやシェイクスピアなのでなかなか…。

 加藤さんの演技が刀ステと比べて抜群に上手くなってて感動した。何があったのか。細やかな芝居は出来る人なのかもしれないと思った。

 

「DIVE!!」The STAGE

2018年10月6日 昼公演観劇 @森ノ宮ピロティホール

 この作品を舞台化する時、観客が一番楽しみにしていたのは「飛び込み」の描写だと思うのだけれど、前説で見せてしまっていたので残念に思った。フライングをアンサンブルにさせてしまうのも俳優の身体性を殺していたように思う。アイデアとしては良かったけれど、ベストではなかった。

 兎にも角にも、本当に小説が原作か?と思うほど(小説をアニメ化したものが原作ということは一応は理解しているが)日本語が変。脚本が変。飛び込みを始めたきっかけである先輩からかけられた言葉「きっと後悔するぞ」の先にあるのが「練習に熱中するあまり彼女を奪われる」だとか「普通でいられない苦しみ」でいいのか立ち止まって考えるべきだった。あの台詞はこの公演において一番大事にして欲しかった。

 良かったところもあっただけに残念だった。

 

 

 「貴方なら生き残れるわ」の感想は別で書こうと考えてますが、今年はテニミュを残して観劇は以上になります。後半にて総まとめを考えてます。

 おしまい。

コンテンツに幅を持たせるための“コンテンツの補強”という施策について

 紅白歌合戦の出場者が発表され、企画コーナーでミュージカル『刀剣乱舞』から“刀剣男士”が出演することも同時に発表されました。演劇の1ジャンルである“2.5次元舞台”が新たな広がりを見せたこと、どうやらミュージカル『刀剣乱舞』のプロジェクトが始動した頃からの悲願達成であることなどおめでたい側面もありながらも、一部のファンや他の2.5次元コンテンツに熱をあげるオタク(という表現しか見つからなかった)からは地上波の電波に乗って日本国民の多くが視聴する番組で紹介されることを「恥ずかしい」という声もいくつかあったように見受けられました(あくまでもわたしがそのように思っているのではなく、そのような声もあったという話です)。

 紅白歌合戦は近年企画枠としてアニメや所謂クールジャパンカルチャーの紹介にも力を入れているようにも感じますが、個人的には些か“刀剣男士”が“紅白歌合戦に出陣する”という事柄を唐突な出来事に感じるのは事実だと考えています。

 パフォーマンスのクオリティが2.5次元ジャンルではないミュージカルには劣るケースがあるだとか、オタクには“オタク”的なものをオタク以外に見せるべきではないという意識を持つ者も多いことや、よくわからないものを嘲笑する人が少なからず存在しているという事実など、要因は複合的であるように思われますが、わたしは「NHK紅白歌合戦」という番組が日本国民それぞれの文脈で確かな強度を保っていること、その強度がミュージカル『刀剣乱舞』が持つそれとは差が大きく開いており見合わないことが原因の一つではないかと仮定しました。

 その上で、ミュージカル『刀剣乱舞』を始めとする2.5次元コンテンツはジャニーズやその他アイドルと比べて、外野から見て「なんかかっこいい」と思えるような戦略を張っておらず、“文脈作り”が下手だ(“文脈作り”という表現は語りたかった内容を表現する上で妥当ではなかったように考えたので後述で訂正します)という意見をツイートしたところ、お題箱にて下記のお題が届きましたのでここで回答させていただきたいと思います。

>文脈作りの上手い例が知りたいです!(やはり歴史を重ねてきたテニミュがそうなんだと思うのですが、詳しくなくて…) https://odaibako.net/detail/request/996f54c90bb94c9081ee5b2ac7628175

 前提として明記しておきたいことは、この議論はオタクがどのような姿勢でコンテンツを楽しんでいるかというよりもコンテンツがどのような意思を持って広がりを見せるかという切り口でなされており、“オタクが内輪で盛り上がっている”コンテンツとそうでないコンテンツの間に優劣はないという考えがある上で、あくまでも「紅白歌合戦」に出場するというような“オタク”以外の人の目にも止まるように活動の幅を広げたい場合に“文脈作り”が必要なのではないかというのが論点であることです。また、一概に「広く知られていること」がコンテンツにとって必要だとは考えていません。

 前述で“文脈作り”と表現しましたがコンテンツそのものの文脈というよりも様々な人や別ジャンルコンテンツの文脈上でどれくらいの存在感を持たせられるか、転じて他のコンテンツの文脈からいかに語ることが可能であり、いかに他のコンテンツの文脈においてコンテンツの存在を保っているかが重要なのではと考えたため、以後“文脈作り”としていたものを「コンテンツの補強」と表現します。

 例として「木村達成」を挙げるとすると、その一要素からハイステ:中屋敷法仁(小劇場の文脈)が参加、和田俊輔(他ジャンルの舞台音楽の文脈)が参加、魔界転生堤幸彦が参加(映画やドラマの文脈)松平健(時代劇・高齢者の文脈)が参加というように、違和感のない連想ゲームがどれだけ展開出来るかがコンテンツが広く知れ渡るか、お茶の間に馴染むかの鍵になるかなと考えています。“日本人はドラマにお笑い芸人が出演することを面白いと思える”*1ような民族であるため、特にこの連想ゲームの広がりは大事なように思います。

 

 ミュージカル『テニスの王子様』(以下テニミュ)の語り口のひとつである歴史(2.5次元の元祖であるということ)は勿論テニミュというコンテンツそのものの文脈を強化する事柄の一つではあるとは考えられますが、テニミュコンテンツの補強はテニミュを卒業した役者たちが作り築き更新し続けているというようにわたしは考えています。「エリザベートで帝劇に立っていた城田優はかつてテニミュにも出ていた」「イケパラに出てた城田優はかつてテニミュにも出ていた」「CDを発売した城田優テニミュにかつて出ていた」というように他のコンテンツの文脈から語られることが結果的にテニミュという存在を補強しているわけです。キャスト卒業制度があることでこれは成り立っていますが、でもこれはキャスト卒業制度を作った当時としては意図しない副産物だったように思うので文脈「作り」の例とは言わないかもしれないですね。

 テニミュは「コンテンツの補強」においてはどちらかというと下手な方で、いつの間にか登場した“2.5次元作品”という文脈において元祖としてウッカリ大きく存在感を持ってしまったコンテンツなのではないかと考えています。やってることは今も昔も変わっていなく、新しいことを始めるにしても後手後手に回りがちで新しいことに対してあまり積極的ではないように見受けられます。個人的に(インターネットコンテンツに弱かった)ジャニーズを見ているのとかなり似たような感覚があります。しかし多くの人が“テニミュ”に求めているのは伝統・ある意味での古くささであり、大手コンテンツとしてどっしり構えていればファンの流出は少ないように考えられるし、それでも構わないように思えます。

 

 では「コンテンツの補強」が上手くいっている例として挙げられるのは何か。ネルケプランニングはそこを試行錯誤している最中であって、あまり“上手い例”というのはないのではないかなと考えています。以前のNHKで特集されていたミュージカル『刀剣乱舞』のドキュメンタリーがもう少し早い時間に放送されていたら良かったようには思います(実際、私の横でその番組の録画を観ていた母は、出演者一覧に目を通して刀剣男士の項目を見た後「あのドキュメンタリーでパリに行っていたやつね〜」と直ぐに飲み込んでいたので)。

 最近の2.5次元以外のコンテンツでいえば、「ヒプノシスマイク」は上手いと思っています。声優・キャラクターソングという強い結びつきのあるひとつの2次元コンテンツにこれまで相容れなかったラップ・ヒップホップ文化を持ち込んだのが「ヒプノシスマイク」です。これだけでは突飛に思えるかもしれないけれど、ヒプノシスマイク(ラップ)で闘う理由の設定をするという下地を作った上で、実在の有名ラッパーを楽曲に参加させる事でヒップホップ文化の文脈にひとつの要素として「ヒプノシスマイク」が存在出来るようにコンテンツ作りがされています。

 他にも「ヒプノシスマイク」の楽曲にはオリエンタルラジオ藤森慎吾が参加した楽曲もあり*2、それも一見すると唐突なように思えますが、“チャラ男キャラ”の藤森さんが“ホストのラッパー”の楽曲を制作したというところまであれば違和感はなくなる。これによってお笑いの文脈からも「ヒプノシスマイク」が語れるようになるわけです。

 「ヒプノシスマイク」は各ジャンルの境界線を曖昧にする仕掛けを作りながら他の文脈に「ヒプノシスマイク」の場所をこじ開けるのが上手い印象です。

 

 

 2.5次元領域の製作が2.5次元作品を制作し続けていても、ジャンルとして新しい風が吹かないのもまた事実であって、どこに/どのように風穴を開けるかがこれから先2.5次元作品が成長していくかの鍵であるように思います。そのひとつの施策として「コンテンツの強化」もされていくのだろうなと考えられますが、テニミュを起点に考えても15年の歴史しか無いわけですから、まだまだなんでもやれるしこれからどんどん上手く「世間」と交わることが出来るように思います。

 長々と書きましたが、「演劇」に新しい広がりを見せた「2.5次元作品」が次のステップとして「2.5次元作品」そのものとしてどのような広がりを見せるかはまだ過渡期であるし、“上手い例”は未だに無いと言えるのではないかというのがわたしの考えです。個人的には「2.5次元作品」の成熟を、過程を含め割と楽しみにしてます。

*1:中屋敷法仁ツイキャスより

*2:伊奘冉一二三「シャンパンゴールド」